アルゴ』200

自分の映画人生を振り返ってみよう企画第4弾は21世紀という新たな100年が始まった2001年のベスト10です. 今回もまたアシッド映画館シネマグランプリ規約に則り、2000年12月~2001年11月までを対象期間としております. 1 彼女を見ればわかること 2 ダンサー・イン・ザ・ダーク 3 GO 4 ギャラクシー・クエスト 5J.S.A. 6 ショコラ 7トラフィック 8 イルマーレ 9オー・ブラザー! 10リベラ・メ とにかく邦画で面白い作品が顕著に増え始めたこの2001年. 特に衝撃的だったのは、のちに 『河童のクゥと夏休み』 を撮ることとなった原恵一監督の『クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ! オトナ帝国の逆襲』でした. 未見の方は是非! と言いたくなる、まさかまさかの感動作でしたからね. また洋画に関しては夏に『A.I.』 『パール・ハーバー』 『猿の惑星』『ジュラシック・パークⅢ』と大作が連続公開されるも評価が上がらすという一方で、スティーブン・ソダバーグがアカデミーにおいて2作品で作品賞と監督賞のダブルノミネートという快挙を達成. 世紀が新しくなり、映画界の縮図も新しくなり始めた一年でしたよ. てな訳で追記にはアシッド映画館シネマグランプリ2001の結果も記載しておきますので、ご参照ください. 深夜らじお@の映画館 は2000年問題といえば水がたくさん売れたという記憶しか残っていません. ※ 1998年ベスト10 、 1999年ベスト10 、 2000年ベスト. 映画製作のロケハンを口実に人質を奪還する. 1979年のイラン革命時に、カナダ大使私邸に逃げ込んだ6人のアメリカ人を架空のSF映画『アルゴ』のロケハンスタッフに偽装させて脱出させたというこの嘘みたいな実話. 史実だからこそ結果は分かっているはずなのに、最後まで途切れることなく張り詰めている緊張感がたまらない映画でした. 敵を欺くにはまず味方からと言いますが、まず映画関係者であるレスター・シーゲルやジョン・チェンバーズが作戦に加わるのはまだしも、実際に製作発表や雑誌の取材、キャストを集めての公開読み合わせ、脚本に合わせた絵コンテまで用意してイランだけでなくアメリカ国内も欺いてしまうのですから、さすがエンターテイメント国家・アメリカ. その一方でこの作戦を知っているCIAや国務省から発案者以外に誰かが同行するのかと思いきや、実際に現場に赴くのは『最後の猿の惑星』からこの作戦を発案したトニー・メンデスだけという驚きの史実. もちろん人数が多ければロケハンに説得力や現実味が薄れる分、疑われる危険性も増えてしまうとはいえ、それでも失敗すれば自分や6人だけでなく大使館で人質になっている52人の命までも危険に晒してしまうかも知れない状況下で、たった一人で乗りこむ勇気はハンパないと思います. また救出される6人も、偽装がバレれば命がないという危険に晒される中で、演じたこともない別業種の人間を演じなければならない緊張感もハンパなかったでしょう. ですからそんな状況下で脱出するという緊張感、特に脱出当日の現場とアメリカ本国の緊張感もハンパないこと. 偽装がバレるかも知れない段階は一つではないからこそ、現場は一難去ってまた一難の繰り返し. サポートしてくれるはずのCIAは作戦の中止を決定した国務省の説得をするため時間との戦い. そんな綱渡りとも言える状況下で革命兵士に疑われたことで別室に連行され、一つの失敗が全員の命を危険に晒す絶体絶命のピンチ. ここで最もこの作戦に否定的だったペルシャ語を話せる男が絵コンテを使って説明する. しかも何を話しているのか分からないように字幕もつけない. もうこの演出による緊張感がハンパない! さらにこれだけでは終わらず、イラン側に作戦がバレたことで飛行機が空港から無事に飛び立っても離陸許可が取り消されるのではないかという緊張感を機内電話を使って見せる演出も素晴らしいこと. そしてCAがイラン領空を離れたのでアルコールが解禁されたとアナウンスした瞬間、一気に張り詰めていた緊張感が緩むと同時に自然と涙腺も緩むなんて…もうたまりませんでしたわ. てな訳で作品を撮る毎に映画監督として確実に成長しているベン・アフレック. カーター元大統領のインタビューをEDロールに挟む演出も素晴らしかっただけに、今後も彼の監督作品は見逃せませんよ. そしてワーナーブラザーズがロゴで遊ぶ作品はやっぱり面白い! 深夜らじお@の映画館 はこの時代の暴徒化するイラン市民と現代の暴徒化する中国民衆が同じに見えて仕方ありませんでした. ※お知らせとお願い ■ 【元町映画館】 に行こう.